ロッテン『お呼びでしょうか?旦那様』
ゼーゼマン『呼び立ててすまないね…ん、人払いを…』
ロンドン出張から帰って来たゼーゼマン。途中オランダに寄り道しての帰国であったが…ロッテンの知るゼーゼマンはリゾート地で遊ぶような人物ではない。なにか商売がらみの事案だったのだろう。
ぜ『ロンドンで商売になりそうなモノを見つけてね…』
ロ『?旦那様?コレは?』
机の上に置かれた小さな帽子のような形をしたモノを差し示され、ロッテンは怪訝な表情を浮かべた。
ゼ『避妊具だよ』
ロ『避妊具?アレは豚や羊の小腸…』
云いさしてロッテンは赤面した。トウが経っているとは言え、嫁入り前の『娘』が口に出してよい言葉ではない。
ゼ『フフフ!流石に博識だね!』
ロ『赤!赤!赤』
更に赤面するロッテンを前にして、ゼーゼマンは相貌を崩した
ゼ『知っての通り、避妊具は小腸を延ばして使う~だが、ドイツでは、小腸はソーセージに使用する分で予約済みだ。おかげで貧乏子沢山…まあ、そのおかげの兵力で、カエル喰いのボンクラ皇帝を倒せたんだが…』
ゼ『ドイツ人は…避妊具の使い方に馴れていないんだ…ビジュアルに訴えるやり方をしようと思うんだ』
ロ『はあ…左様で…ん?!まさか…旦那様…(後ずさり)』
ゼ『君のような美しい人が…僕のようなヤモメの執事に入っているのに…なにも起こらないと思ってるモノはいないんだ!ナノに、子供が出来たという話が聞こえてこない…コレでは、僕は世間から「種無し」と嘲笑されてしまう!そんなのはもう耐えられないんだ!』
ロ『旦那様…落ち着いて下さ…ンッ!』
最期まで言い終わる前に、口を塞がれ、ズロースをズリおろされてしまう!
ゼ『この避妊具を販売したら、世間も納得するだろう!あんな脂の載った女が、妊娠せずにいるのも避妊具のお陰だ!とね…』
ロ『旦那様!旦那様!ああ~っ!!』
その日、ひとりの『娘』が喪われ、ひとりの『女』が生まれた…